格闘家が計量を通過するために行う減量と、一般の方が健康や見た目の改善を目指すダイエットは、目的も期間も評価方法も異なります。
特に、水分を急速に減らす方法は、体脂肪を減らす方法ではありません。
格闘家の水抜きや極端な食事制限を、一般のダイエットとして真似しないでください。
私は90kgから60kgまで体重を落とした
私は競技人生の中で、最大約90kgから約60kgまで体重を落とし、キックボクシングではライト級61.23kgで戦いました。
この経験があるからこそ、「格闘家と同じ方法なら短期間で痩せられる」とは言いません。
計量へ向けた体重調整には、長期的な体脂肪の減少だけでなく、
- 体水分
- 消化管の内容物
- 体内に貯蔵された糖質
- 糖質と一緒に保持される水分
などの一時的な変化が含まれる場合があるからです。
体重計の数字が減ったとしても、そのすべてが体脂肪の減少とは限りません。
一般のダイエットと格闘家の減量の違い
一般のダイエット
主な目的は、健康、体脂肪、見た目、生活機能の改善です。
週や月単位で変化を確認し、終了後も維持できる食事と運動をつくる必要があります。
格闘家の計量前調整
主な目的は、指定された時刻に契約体重をクリアし、試合へ出場することです。
長期的な体脂肪の調整に加えて、計量直前に一時的な体重変化を利用する選手もいます。
計量後には、試合へ向けて水分、栄養、体調を回復させる必要があります。
この特殊な目的を、一般のダイエットへそのまま持ち込むことはできません。
体重が減ることと脂肪が減ることは同じではない
脱水によって減った体重は、水分を戻せば増えます。
計量競技では、その一時的な変化を利用する場合があります。
一方、一般のダイエットで重要なのは、翌日に戻る数字ではありません。
生活の中で維持できる体脂肪と行動の変化です。
急速減量はパフォーマンスにも影響する
2023年の系統的レビューでは、格闘技における急速減量がパフォーマンス関連指標へ与える影響が検討されています。
影響は、減量方法、減量幅、計量から試合までの回復時間によって異なります。
研究結果が一様ではないから、安全だという意味ではありません。
脱水を伴う方法には健康上のリスクがあり、回復時間が短ければ、試合までに十分回復できない可能性があります。
競技者であっても、「これまで大丈夫だったから今回も大丈夫」とは判断できません。
一般の方が取り入れるべき3つの考え方
①期限より、維持できる生活を先に決める
「いつまでに何kg落とすか」だけではなく、その後も継続できる食事、運動、睡眠の形を決めます。
期限だけを強くすると、短期的な数字のために方法が過激になりやすくなります。
②体重以外も測る
- 週平均体重
- 腹囲
- 歩数
- 筋力トレーニング日数
- 体調
を確認します。
単日の体重だけで計画を変更しません。
③競技者の方法を一般化しない
試合前の映像やSNSで見えるのは、特殊な目的と環境の一部です。
一般の方に同じ安全性、費用対効果、継続性があるとは限りません。
水抜きはダイエットではない
水抜きの主目的は、体水分を一時的に減らすことです。
体脂肪を減らす方法ではありません。
この記事では、水抜き、極端な食事制限、下剤、利尿薬などを使った減量方法は紹介しません。
競技者の場合も、医師やスポーツ栄養の専門家を含む支援体制の中で管理すべきです。
元格闘家として伝えたいのは、短期間で数字を落とす方法ではありません。
数字を落とすことと、良い状態で生活や競技を続けることは別だという事実です。
生活の中で維持できる減量方法を整理したい方は、ご相談ください。
ご予約・ご依頼
https://itobankyo.jp/request/
参考資料
Martínez-Aranda LM, et al. Effects of Different Rapid Weight Loss Strategies and Percentages on Performance-Related Parameters in Combat Sports.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36982067/
Government of Western Australia. Contestant Safety Strategy to Address Rapid Weight Loss by Dehydration.
https://www.cits.wa.gov.au/department/publications/publication/contestant-safety-strategy-to-address-rapid-weight-loss-%28weight-cutting%29-by-dehydration
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